住宅を選ぶときに1番重要視する項目として「性能」と答える人は多いはずです。
しかし、知識がないままで気密性能や断熱性能を判断するというのは難しい話です。
今回は気密性を表すC値と、断熱性を表すQ値とUA値について解説していきます。
高気密高断熱はなぜ必要なのか
そのそも、どうして高気密高断熱が必要と考えられているのでしょうか。
長くなってしまうのも時間がもったいないので、最初に答えを言ってしまいますが、それはランニングコストの軽減です。
それ以外にも、もちろんメリットはありますが、一番考えられているのがこの内容です。
そのことを踏まえ、高気密高断熱についてや、C値、Q値、UA値について理解を深めていきましょう。
C値とは?
C値とは、相当隙間面積のことをいいます。
これは家にどれぐらいの隙間があるのかを表し、このC値の数値が低ければ低いほど隙間がない家となります。
このように隙間がない家のことを高気密の家と定義しているようです。
高気密の数値とは?
では、どのような数値が高気密と言えるのかというと、それは、
C値=1.0
地域にもよりますが、この数字以下の気密性能が高気密と言えるでしょう。
住宅の性能を気にするのであれば、空気が逃げてしまう隙間はないに越したことはありません。
住宅会社から「C値は1を下回ることができます。」と言われた場合でも安心することはできません。
なぜなら、施工する人間の技術力によって能力が違うからです。
大手ハウスメーカーは下請けの業者に業務を委託していますので、ハウスメーカーの工法で気密性が高いと判断するよりも、どのような下請け業者に建築をを委託しているのかを確認した方がよさそうです。
住宅会社の傾向としては、坪単価などの価格が高い住宅会社は「技術レベルの高い施工業者」、ローコスト住宅などの坪単価が低い住宅会社は「技術レベルの低い施工業者」と考えることができます。
もちろん、下請けの価格が住宅の価格にも反映されていますので、「高い=技術レベルが高い」「安い=技術レベルが低い」と考えることができます。
高気密がおすすめな理由
高気密がいいとよく言われていますが、それには下記のような理由があります。
- 光熱費を減らすことができる
- 壁の中の結露防止
- 24時間換気による計画換気の性能の向上
このような内容になりますが、一番考えられているのが光熱費を減らすことです。
隙間がないことで、断熱性能の向上や室内の温度を管理しやすくなります。
断熱性能がどれだけよくても、隙間だらけの家では断熱性能を活かすことは絶対にできません。
高気密によるメリットとデメリット
よく、C値の低い高気密の住宅による、メリットとデメリットは何かあるのかと聞かれる場合があります。
答えとしては、基本的にはメリットはあってもデメリットはありません。
家の中の空気が外に逃げることや外の空気が中に入ってくることが少ないので冬は暖かさを保ち、夏は涼しさをキープすることができます。
一方では、家の中の空気が換気されずにとどまるので、健康被害が起こると考える人もいますが、現在の住宅では24時間換気が義務づけられています。
計画的に空気の入れ替えを行う仕組みがあるので、健康被害を気にする必要性もそれほどありません。
Q値とは?
Q値とは、熱損失係数のことをいい。
これは家からどれぐらい熱が逃げにくいのかを表し、このQ値の数値が低ければ低いほど断熱性が高い家となります。
このように断熱性が高い家のことを高断熱の家と定義しているようです。
高断熱の数値とは?
ではどのような数値が高断熱と言えるのかというと、それは一概には言えません。
気密性の場合はC値=1.0が一つの基準となりますが、断熱性能の場合は気密性能以上に建てる地域によって数値は変わってきます。
日本の最北である北海道と、南の九州では気温が全く異なります。
九州で「高い断熱性」と言われる数値でも、北海道では「低い断熱性」となってしまうからです。
しかし、一つの目安として、全国で建てている大手ハウスメーカーの数値を参考にするのがいいでしょう。
気密性を表すC値を公表していない大手ハウスメーカーはたくさんいますが、断熱性をQ値やUA値で表していないところはほとんどありません。
C値と違い職人ではなく、建てる工法や使う材料によって断熱性能が決まることろが大きいからです。
窓のサッシだけでも、樹脂サッシや、複合サッシ、木製サッシなど様々です。
このように家に使うものによって、断熱性能を上げることもできれば、下げることもできます。
自分の地域に合った数値を見極め、どれだけお金をかけることができるかを考える必要があります。
建てた家に住んでから、光熱費などのランニングコストに直結してくる部分になりますので、慎重に考える必要があります。
UA値とは?
UA値とは、外皮平均熱貫流率のことをいい。
これは家からどれぐらい熱が逃げやすいのかを表し、このUA値が低ければ低いほど断熱性が高い家となります。
UA値はQ値と同様に、断熱性がどれぐらいのものなのかを表した数値となっています。
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Q値とUA値の違いとは?
Q値は家からどれぐらい熱が逃げにくいのかを表し、UA値は家からどれぐらい熱が逃げやすいのかを表しています。
現在は主にQ値に代わりUA値が、省エネルギー基準を満たしているかなどの基準となりました。
Q値とUA値は、基本的な断熱性能を表すという考え方は変わりません。
違いといえば、Q値は換気による熱量損失まで考えていましたが、UA値では考えなくてもよく、延べ床面積で考えていた計算が外皮面積で割ることにより、計算が簡単になっています。
この内容をまとめると、下記にとおりになります。
Q値
- 熱損失係数
- 家からどれぐらい熱が逃げにくいのかを表したもの
- 計算式がUA値より複雑
UA値
- 外皮平均熱貫流率
- 家からどれぐらい熱が逃げやすいのかを表したもの
- 計算式がQ値より簡単
設計士や専門家はでない一般の人は、Q値とUA値について表し方が違うが、同じ断熱性能を表す数値という認識でいいでしょう。
このサイトでは主にQ値で比較をしています。
UA値で説明をされた住宅会社ではその数値をQ値に変換しています。
Q値とUA値の変換式とは?
比較するするときにQ値とUA値では、優劣をつけたくても非常に分かりづらいです。
そこで、その変換式を紹介していきますので役立ててください。
UA値=0.374×Q-0.14
Q値=2.67×UA+0.39
この変換式は家の規模により若干の誤差が出てくるので、完全なものではありません。
その点は注意してください。
高気密高断熱のまとめ
気密性能はC値を、断熱性能はQ値かUA値を参考にしてください。
いずれにしても、数値が低い方が性能が高いということになります。
高気密だけの住宅や、高断熱だけの住宅では意味がありません。
両方がそろわなければ住宅の性能が高いとはいえず、必ず高気密高断熱が求められています。
気密性能は「職人の腕」、断熱性能は「仕様素材のグレード」で判断するのがわかりやすくていいでしょう。
なので、基本的には「坪単価が高い家は高気密高断熱」「ローコスト住宅は気密性、断熱性は低い」ということになります。
もちろん他の要因もありますので必ずそうであるということはありません。
このことをふまえ、営業マンから住宅性能を聞き出すようにしましょう。
数値として他の住宅会社と比較することが大切です。
このページを見てもらえれば、数値を示さずに「高気密高断熱で性能が高いですよー。」「光熱費がかからずランニングコストは低いですよー。」なんて言う営業マンに騙される心配はないでしょう。