世の中には、多くの建築物が存在し、住宅だけではなく高層ビルや工場、商業施設、雑居ビルと様々な建物です。
しかし、工事着工で一番初めに考えなければなららいことは、地盤の強度です。
建設する建物によって、その区画の地盤が耐えうるかが重要なポイントとなってくるからです。
新築で建てる場合でも、建物のことばかりに気を取られ地盤改良にまで気が回らない人が多くいます。
後々取り返しのつかないことにもつながるので甘くみないようにしましょう。
地盤改良とは?
地盤改良とは、前述のような高層ビルや工場、大規模な商業ビルなどの建築物や橋梁などを土地の上に建設・構築する上で、安定した状態を保つために地盤に改良を加えて、耐久性を強化することとなります。
建設の対象となる土地の地盤が軟弱な状態のままに着工し始めると、長い時間をかけて建物の重さにより部分的にあるいは、全体的に地盤が下がってしまう可能性があります。
これがいわゆる地盤沈下です。
また、最悪の状態になると大きな地震などの災害により、その地盤の地質が液状化状態になってしまう可能性も少なくありません。
このような状態で建物を建ててしまうと、建物自体に亀裂が入ってしまったり、傾いてしまうことさえあります。
分譲マンション等では、住居も困難になる可能性もあります。
そうなると、住民賠償などの2次的なトラブルにも発展していく危険性もはらんでいるのです。
現在では、このような事態を防ぐ為に、地盤改良工事を行うことで地盤の補強を行います。
地盤改良の種類
地盤改良にはいくつかの種類があります。
地盤の特性を考慮して、どの工法を採用しているかには分かれてきます。
表層改良工法
浅層混合処理工法とも呼ばれる工法です。
この工法では杭を打ち込むのではなく、軟弱地盤の土とセメント系の固形材を混ぜ合わせ、転圧しながら地盤の固めていく工法となります。
まず、バックホウ等を使い改良の対象となる区画の地盤を平面的に掘削していきます。
深さ50cm~3m程度まで掘削した後は、石灰、セメント、セメント系固化材等を混合しながら埋め戻していきます。
埋め戻しのの厚さは、30cm~50cm程度毎にローラー、ランマ―で転圧していき締め固めていきます。
この工法のメリットとしては、一般的に工事費用が比較的に安価で、他工法に比べて小型重機での施工が可能です。また、地盤にコンクリートや石が混入している状態でもも施工が可能です。
ただし、デメリットとしては改良の厚さが1m以上になると、他の工法でじばん改良を行った方が安価になることが少なくありません。
施工後は、土地自体は硬質となるので植物類の生育はできなくなります。
また、改良面より地下水位が高い場合には、この工法を採用することができないきことや、傾斜度の高い地盤面の施工も困難な点もデメリットとして挙げられます。
柱状改良工法
この工法は、一般的な戸建住宅建設で、最もポピュラーな工法です。
但し、軟弱な地盤は地表から2m~8mの深さで採用される工法でもあります。
杭工法では木杭、小口径鋼管杭、既製コンクリート杭など従来から採用されている工法の他に、地盤補強専門の会社が独自に開発した工法が存在しています。
特に、小規模な建築物である個人向け戸建住宅に多く採用されています。
セメント系の固形材を地盤に注入して、特殊な重機を用いながら、軟弱地盤と混入させ柱状の強化地盤を作ることで建物を支えていきます。
施工期間は規模により異なりますが、30本~40本程度の杭を使うのではあれば、22~4日で施工が完了します。
メリットは小型重機で施工できることや、地盤強度をより強固な地盤の状態でがなくても強度を保つことができることです。
一方で施工後、地盤を前の状態に復帰させることが難しかったり、改良の杭が残ることで、土地価格評価が下がってしまう可能性があることがデメリットと言えます。
鋼管杭工法
戸建住宅では、あまり用いられることが少ない工法ですが、軟弱な地盤が地表から30m以内の地層で対応な工法です。
支持層に到達した金属製の鋼管により建物を支える工法ですが、建物の規模にもよよっては1~2日の短期間で完了できる工法でもあります。
メリットとしては、強度が高い地盤での工法なので重量のある建物にも対応が可能で、費用が高い反面、現状復帰の状態に戻すことができる点があります。
逆にデメリットとて、支持層まで鋼管杭が届かないと強度を保つことができないことや、大型重機が入らない土地では工事が不可能であること、工事中の騒音・振動が大きいために、周辺地域の住民への理解を得ることが困難であることがあります。
脱水工法
地盤改良には、前述の表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法等が代表的な子法ですが、その他に脱水工法があります。
この工法にも次のような種類に分かれます。
ウェルポイント工法
ウェルポイント工法は、吸上管の下部にウェルポイントと呼ばれる穴空き管を取り付けて直径5~6cm、長さ1mのノズルから水を噴射して地盤を軟化させつつ、井戸を作り真空ポンプによる排水で地下水位を低下させていきます。
そうすることで地盤を締め固めていきます。
このメリットは、地下水を低下させてながら、容易に掘削作業が行える点があります。
ディープウェル工法
深井戸工法とも言われているディープウェル工法は、浸透性の高い砂・砂利層の地盤環境で、1か所の井戸で広範囲区画における地下水位の低下や透水性が低い掘削床面の下層で高水圧を持つ地下水帯がある場合などの、地下水帯の減圧が必要なケースに用いられます。
バーチカルドレーン工法
この工法は軟弱地盤に排水層を設置して、構造物自体の荷重により土中水分を排水層に押し出して地盤強化を行う手法を取ります。
しかし、建設前の工法として採用されることはごく稀です。
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費用の相場
地盤改良工事の費用は、土地の状態により一概には言えませんが、おおよそ以下の通りとなってきます。
表層改良の費用
表層改良工事の施工面積1坪あたり約3万円です。
価格は一番安い工事になります。
柱状改良工法
建物の建築面積1坪あたり約4~5万円です。
表層改良より若干値段が高くなります。
鋼管杭工法
建物の建築面積1坪あたり約5~7万円です。
一般住宅の場合はほとんど行われることはありません。
新築で建てる場合はここまでのかかることは想定しなくてよさそうです。
脱水工法
脱水工法は、大規模な地盤改良に大きな効果を発揮しますが、高コストとなってしまう傾向があります。
地盤改良の種類と費用まとめ
種類はいろいろありますが、建築面積1坪あたり約4~5万円と考えておけばそれ以上の値段になることは稀なケースです。
地盤が弱いと家を建てることは不可能なので仕方がない出費と考えるしかありません。
また、個人向け住宅の建設のみならず、公共関係、商業関係における建物の建設でも、地盤改良は必要不可欠と言えます。
ニュースで建物が傾いてトラブルになる報道を時折、耳にすることがありますが、その原因は地盤改良の専門工事業者の施工した基礎杭が支持層に達していないことで、建物自重に地盤が耐えられず地盤沈下を起こしてしまったということが少なくありません。
このようなトラブルは、施工業者の施工能力が低いことによる品質不良が原因ですが、簡単にデータ改ざんできてしまうことも問題です。
データを偽装できてしまうことは、地盤改良工事が地層工事のために施工品質が分かりづらいことや、.施工不良が発覚しても改善工事に多額の費用や長期にわたる工事が必要になることが背景にあります。
このようなことから、地盤改良工事は他工事と比べて、問題が表面化されることが少なく、合わせて施工不良も発生しやすい工事でもあるので、施主は確かな業者の施工実績を調査して選択することが必要です。
新築で建てるときには住宅会社が地盤改良のための業者を派遣してくれ、自分達で探すよりも信頼ができるといえます。
地盤改良の後は家を建て始めますが、住宅会社としてもクレームがつかないようにしっかりと現場指示などを出し、地盤の強度を高めてくれます。
家を建て始める前の最初の工事で、ここで失敗をしてしまえばその後の工程がすべて台無しです。
費用はかかってしまう地盤改良ですが、避けては通れない道だと思いしっかりと向き合いましょう。